おたふくかぜはムンプスウイルスに感染して耳下腺が腫れる病気です。発熱し、両方あるいは片方の耳下腺が腫れますが、通常1週間から10日ぐらいで治ります。ほとんどの人が合併症なくよくなります。
しかしいくつかの合併症があります。ウイルスが脳に炎症を起こす髄膜炎や膵炎、副睾丸炎などがあります。
今回は最近問題となっているおたふくかぜ後の難聴、ムンプス難聴についてお話します。この難聴は、以前はおたふくかぜに罹った人の1万から2万人に一人くらいの稀なものとされていましたが、最近の調査では3500人に一人くらいとも言われています。難聴はおたふくかぜに罹って7日以内に発症することがほとんどで、片方の耳だけが難聴になることが多いのです。ですから子どもの場合気がつかないで大人になってわかることもあります。子どもの耳元で指をすり合わせて音が聞こえているかを調べる「指すり法」で確認することをお勧めします。
実際に難聴になってしまうと有効な治療法はないというのが現状です。おたふくかぜの予防接種を受けて、おたふくかぜにかからないようにすることが唯一のムンプス難聴の予防策と言えます。