とにかく朝なかなか起きられないし、やっと起きてもしばらくボーっとしていている。頭やお腹をよく痛がる。このような症状のお子さんはいませんか?これは、小学校高学年くらいから多くなる自律神経失調症の1つである起立性調節障害という病気の可能性があります。この病気は新学期が始まった春先から初夏にかけて発症することが多いのも特徴です。主な症状は立ちくらみですがそのほかの症状としては、朝なかなか起きられない、頭痛、腹痛、イライラする、授業に集中できない等があります。でもこれらの症状は午後には軽快することが多いのも特徴です。
病気のメカニズムはこうです。寝ていた状態から急に立ち上がると、体の血液は重力により下半身に集まろうとします。すると上半身、特に脳を流れる血液が不足し、めまい、つまり立ちくらみが出現します。そうならないように正常な人は、自律神経が働き下半身の血管を収縮させて脳を流れる血液の量を確保しているのですが、その機構がうまく働かない状態がこの病気です。急に体が大きくなってきたのに、その体を調節する自律神経がついていかない状態とも考えられ、大人の体になるための通り道ともいえます。
この病気は成長とともによくなることが多いので、そのまま様子を見てよいことが多いのですが、まずは現在の生活パターンを見直すことから始めましょう。夜寝るのが遅ければ当然十分な睡眠を確保することは出来ません。夜更かしはしていないか?寝る直前までゲームをしたり、インターネットをしていると脳が活性化された状態にあり、深い睡眠がとれません。
生活パターンを改善しても症状がよくならず日常生活や学校生活に支障をきたす場合は、血圧を上げる薬や抗不安薬などを服用することで症状が改善することもあります。