病気について 食物アレルギーについて

食物アレルギーの原因は?
つい最近まで食物アレルギーの原因は、赤ちゃんの消化能力がまだ発達していない状態で食物が十分消化されないまま吸収してしまい抗体ができてしまう(感作される)ためと考えられていました。そのため離乳食の開始時期を遅らせたり、特に卵は1歳過ぎまで食べさせないように、といった指導が行われてきました。しかし、最近は食物が体の中に入ってきて抗体を作る感作の経路は、食べて腸管から入るよりも皮膚の湿疹の部位から進入することが分かってきました。アトピー性皮膚炎の子に食物アレルギーを合併するのが多いのはそのためです。
また、食物アレルギーかどうか血液検査を希望される方も多くいます。以前は血液検査で抗体が陽性なことで食物アレルギーと診断し、その食物を除去する指導も普通に行われてきました。しかし抗体が陽性でも食べて問題がないこともあり、血液検査はあくまでも診断の目安ということです。当院では指先から1滴血液を採取して41種類のアレルゲン(アレルギー反応を起こす原因物質)の検査が可能な機械を導入しています。

食物アレルギーを予防するための離乳食の進め方
ある開業医の小児科の先生たちのグループが行った研究の結果を示します。生後4ヶ月から、卵,ミルク,小麦,大豆,ソバ,ピーナッツの6食品を少量から食べさせるたところ、その後食物アレルギーを発症した子はいなかったというものです。その他世界各国から報告されている複数の大規模臨床試験の結果からも、鶏卵など食物アレルギーの原因となりやすい食品であっても、乳児期早期に少量でも摂取を開始しておくことで、食物アレルギー発症の可能性が低くなることが明らかとなっています。

アレルギーを防ぐ離乳食の進め方
離乳食の開始は通常通り生後5~6か月から開始してください。様々の種類の食品を食べさせてください。
アレルギーが気になる方は以下の方法がおすすめです。
1)卵
タマゴボーロを1日1個から初めてください。1週間ごとに1個ずつ増やしていってください。1度に10個食べれるようになったら卵アレルギーの心配はありません。その後は炒り卵やゆで卵を食べさせてください。
タマゴボーロ1個に含まれる卵の量はどれくらいなのでしょう?岩本製菓の5連ボーロを例に説明すると、これには卵白と卵黄が約2:1の割合で入っていて、1個当たりの全卵の量は約0.0235gです。卵1個が50gとするとボーロ2100個が卵1個分になりますのでごく少量の卵の量です。卵アレルギーの診断に病院で行う卵負荷試験には全卵の1/32個(1.56g)を使用します。これをタマゴボーロに換算すると66個分になりますので、それと比較してもごく少量ということです。
2)牛乳
粉ミルクで育ててる赤ちゃんに牛乳アレルギーはありません。母乳で育てている赤ちゃんが問題になります。母乳は理想的な食品です。母乳には免疫成分が含まれており、感染症の予防にも役立っています。また脳や神経系の発達を促す成分も含まれているといわれています。さらに赤ちゃんとお母さんとのスキンシップを取るという意味でも重要です。ただし母乳だけで育てた赤ちゃんは将来牛乳アレルギー発症する可能性があります。それを予防するために少しでも粉ミルクを飲むことをお勧めします。量は必要ありません。1日20mlくらいを毎日あるいは1日おきに飲ませてください。スプーン1杯のヨーグルトでもいいと思います。
3)小麦
うどんやパンを食べさせてください。
4)ピーナッツ
ピーナッツバターを少量なめさせてみてください。
5)ナッツ類
最近ナッツ類のアレルギーが増えています。くるみ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツなどです。ある小児科の先生のホームページで知ったのですが、これらを直接食べるわけにはいかないので、細かく砕いて、ピーナッバターに混ぜてたべさせる方法をとっているようです。さらにそばアレルギーを予防するためにそば粉も混ぜてるようです。
6)エビ、カニ
エビ、カニ等の甲殻類は、これらのアレルギーを持ってしまうと治療するのは難しいです。エビせんべい、かにかまを少しづつ食べれば予防できます。

それでも上記の食材に対するアレルギー反応がおこることが心配な方には、その食材をクリニックに持参していただき、実際に私の目の前で食べていただき待合室で30分様子をみます。問題がなければ自宅で続けてもらいます。その際は平日の午前11時までに来院してください

スキンケアの重要性
食物アレルギーの原因となる食物
抗原は、炎症のある皮膚から侵入することがわかってきました。ですから湿疹のないきれいな皮膚の状態を保つ必要があります。湿疹の治療はその炎症の程度にあった外用薬を塗る必要があります。外用薬には様々なランクのステロイド剤やステロイドが含まれない炎症を抑える外用薬があります。外用薬は決められた回数、決められた量をきちんと塗らないと、塗ってる意味がありません。特にステロイド剤は、ステロイドが怖いというイメージをお持ちの方が多く、遠慮がちに塗る傾向があるようです。

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