開業して20年目に入りました。開業した当初よく通っていたお子さん達が、赤ちゃんを連れて受診する場面も増えてきました。 時間の経過を感じます。
それとともに小児科の外来診療も随分変わってきました。
以前は、熱が出たら抗生剤を処方し、吐いたら点滴する、が当たり前、標準でした。しかし、発熱する病気のほとんどはカゼで、原因はウイルス感染なので抗生物質は効かないし、むしろ抗生物質が効かない耐性菌をつくってしまうデメリットがあることが次第に周知され、抗生剤を処方する機会は激減しました。抗生剤は風邪薬ではありません。適応になるのは、細菌感染症(溶連菌感染症、尿路感染症、一部の肺炎、中耳炎)などです。
点滴の適応も変わりました。吐き気を止める点滴はありません。あくまでも中等度から重症の脱水症の治療です。吐いたばかりや軽度の脱水なら、絶飲食にして、ゆっくり経口補液療法(1回15ml位の少量を頻回に)を行えば乗り切れることが解ってきました。
子供は旺盛な自然治癒力を持っています。何もしない方がかえってよい結果をもたらすこともあります。
当院では、慎重な経過観察を大切にし、最低限の検査、薬による治療を心がけます。
たまに込んだ外来に疲れている時でも、健診にきた赤ちゃんに何の下心なく「ニコッ」と微笑みかけてもらっただけで、それまでの疲れが吹っ飛んでしまいすごく得をした気分になれます。
毎日赤ちゃんに会うことができ、その発育を見届けることができ幸せと感じています。
(2015年3月)
1956年 | 福島県石川町生まれ |
1983年 | 日本医科大学卒業後、 日本医大付属病院小児科、社会保険大宮総合病院小児科勤務 |
1993年 | 星総合病院内科勤務 |
1995年12月 | むかわクリニック開院 |